【補足②】六行
2-21
結合体質の人は調気を修習する前に、六行を行うべし。そのほかの人はこれらを行う必要は無い。何故かといえば、三性質が平均しているからである。
2-22
六行とは、消化器、直腸、鼻腔、凝視、うねり、頭蓋の光のことである。
2-23
この6つからなる行は、身体の浄化をもたらす秘宝である。それは異常な力を生ずる傾向をもっているので、優れたヨガ行者たちに尊ばれている。
2-36
以上の六行によって、結合質の過剰からくる疾患、不潔な分泌物などが消え去った後、調気を修練するならば、苦労なしにそれに成功する。
『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』
補足② 六行
身体を浄化する6つの行法である。それは以下の6つである。
- 布地:催吐法 …… 胃の浄化:長い布を飲み、嘔吐を促す行為
- 貯溜:浣腸法 …… 腸の浄化:肛門から水を吸い、排泄を促す行為
- 鼻腔:催嚔法 …… 鼻の浄化:鼻腔に紐や水を通し嚔を促す行為
- 凝視:催涙法 …… 眼の浄化:ある対象を凝視し、涙を促す行為
- 起伏:攪拌法 …… 腸の浄化:腹部をうねらせる行為
- 頭蓋の光:鼻通法 …… 結合質の浄化:素早く呼気する行為
これらは6つの行法は、消化、吸収、排泄の流れ、呼吸の流れを堰き止めている異物を排除することが狙いであろう。『嚔:くしゃみ』
起伏の浄化:ナーウリ・カルマ
頭蓋の光の浄化:カパーラバーティ・カルマ
ここでは、これらの実践方法の詳細は割愛する。
六行の意図は、調気行法を無理なく行えるよう、激動質に偏った結合力を純粋質に均すことである。つまりは心身のバランスを図ることである。
結合体質
結合力が激動質に傾いた体質である。逆に、運動力や変換力が停滞質に傾いているため、身体の内外合わせた様々な運動や消化・代謝などが作用しにくい体質である。
具体的には脂肪や鼻水などの結合質の過剰である。呼吸運動をしにくい状態では、調気行法は害になるだけである。
※ 結合力については、
結局のところ、呼吸運動をしやすくすることが六行の狙いであろう。
不要な人
三性質が平均した人だけでなく、運動体質と変換体質の人も不要とされている。因みに、アーユルヴェーダでは5つの浄化法である五行(催吐法、催下法、浣腸法、催嚔法、瀉血法)が説かれており、運動体質には腸内を浄化するための催下法と、激動質を刺激するためのギーが示され、そして結合体質には催吐法と、抗アレルギーとして蜂蜜が示されている。
秘訣は、生活の流れを阻害する詰まりを取り除き、流れを円滑にすること。
無駄を取り除いた、滞りのない生活を心がけていきましょう。