正しい起立動作と着座動作
膝を痛めないための動作
前回のレッスンは、「正しい正座姿勢」についてのお話をしました。今回は、無理を持続していると膝の故障につながりかねない「着座姿勢から起立姿勢への起立動作」と「起立姿勢から着座姿勢への着座動作」について習っていきましょう。
留意
まず、着座動作より先に起立動作の練習から始めます。また、床からの起立動作より先に、椅子からの起立動作から始めます。
着座動作の解説は割愛しますが、逆順を辿れるように練習してみましょう。
1.椅子からの起立動作
起立手順
① 着座姿勢
開始姿勢です。
② 上体を前傾していく
上体を前傾して重心を前方へ移動しながら手を膝上にあててお尻を浮かします。このとき小指球で床を捉えていきます。
お尻を上げようとするのではなく、重心の移動によってお尻が浮くようにします。
このとき小指球で床を捉えることがポイントです!
③ お尻を上げていく
小指球で床を捉えながら脛骨上端を引いていき、上体を前方回転するようにお尻を上げていき、最終的には踵で床を捉えます。
上体を起こすことなく、お尻を上げていくことが起立動作最大のポイントです。
また、このとき小指球で床を捉えながら動作することもポイントです!
④ 上体を上げていく
背中を押上げるように上体を上げていきます。
胸を張り背を反らせることなく、胸を含ませるように上体を起こしていきます。
⑤ 立位姿勢
左足を右足に揃えて、立位姿勢になります。
椅子からの起立と着座のアニメーション
● 椅子からの起立と着座 アニメーション ●
2.正座からの起立動作
起立手順
① 着座姿勢
開始姿勢です。ここでは一般的な正座である内旋形で説明をします。
② 上体を前傾していく
上体を前傾して重心を前方へ移動しながら手を膝上にあててお尻を浮かします。
お尻を上げようとするのではなく、重心の移動によってお尻が浮くようにします。
③ 上体を起こしていく
上体を起こして膝立ちになります。
しっかりとお尻を上げておきます。
④ 両爪先を立てていく
両爪先を立てつつ右膝に重心を乗せ、左足を適度に前方へ移動します。このとき左膝は浮いていきます。
お尻を上げて重心を右膝に乗せないと、速やかに左足を前方へ移動できなくなります。
⑤ お尻を下ろしていく
お尻を下ろして重心を後方へ移動していきます。
⑥ 上体を前傾していく
上体を前傾して右膝を浮かせていきます。このとき両踵は浮いたまま小指球で床を捉えていきます。
右膝を上げようとするのではなく、上体を前傾することにより右膝が浮くようにします。
このとき小指球で床を捉えることがポイントです! 少し両膝を開くことで小指球で床を捉えれるようにしましょう。
⑦ お尻を上げていく
小指球で床を捉えながら脛骨上端を引いていき、上体を前方回転するようにお尻を上げていき、最終的には左踵で床を捉えます。
上体を起こすことなく、お尻を上げていくことが起立動作最大のポイントです。
また、このとき小指球で床を捉えながら動作することもポイントです!
⑧ 上体を上げていく
背中を押上げるように上体を上げていきます。このとき右踵は浮いたままです。
胸を張り背を反らせることなく、胸を含ませるように上体を起こしていきます。
⑨ 立位姿勢
左足を右足に揃えて、立位姿勢になります。
正座からの起立と着座のアニメーション
● 正座からの起立と着座 アニメーション ●
過誤動作
椅子であれ正坐であれ、どちらも同じです。
1.腕の状態
手が残る
肘が残る
腕の位置が適切でないと、お尻を上げるために「よっ」などと勢いづけるような粗暴な動作や、お尻を下ろすときに「どっこいしょ」などと落とすような粗略な動作になり、各所に負担がかかります。
2.脚の状態
脚が遠い
脚が内旋している
脚の位置が適切でないと、お尻を上げるために「よっ」などと勢いづけるような粗暴な動作や、お尻を下ろすときに「どっこいしょ」などと落とすような粗略な動作になり、各所に負担がかかります。
3.上体の状態
上体を前傾しない
上体を前傾することなく立ち座りしようとすると、各所に負担がかかります。
上体を反り起こす
上体を真っ直ぐにして後方回転するように立ち、前方回転するように座ろうとすると、特に腰に負担がかかります。
留意
「よいしょっ、どっこいしょ」と踏ん張り、頑張ることなく、「すっ、すっ」と速やかに軽やかに立ち座りできていることが、無理をしていないことの証拠です。
無駄を取り除いた、無理のない動作を修習していきましょう。