2019-10-07

姿勢と呼吸の一致の原理

正しい姿勢を一から習う

前回のレッスンでは、正しい姿勢の原理原則である"全体一致の原理"を踏まえつつ、姿勢のバランスについてのお話をしました。今回はその中でも、"姿勢と呼吸の一致の原理"に焦点を当てて、より詳しく習っていきましょう。

前回のレッスンはこちら

レッスン6

姿勢と呼吸の関係

姿勢の状態は、呼吸の状態にも大きな影響を与えます。そして、呼吸が楽なのか苦なのか、呼吸が深いのか浅いのかなど、呼吸の状態は、心身の状態にも大きな影響を与えています。

姿勢と呼吸の関係1

1.伸びやかな姿勢

伸びやかな姿勢


2.たるんだ姿勢

たるんだ姿勢


3.リキんだ姿勢

リキんだ姿勢


姿勢が伸びやかなら、呼吸もまた伸びやかとなり、姿勢がたるんでいるなら、呼吸もまたたるみ、姿勢がリキんでいるなら、呼吸もまたリキ(イキ)みます。

姿勢と呼吸の関係2

1.内旋・前屈形

内旋・前屈形


2.基本・中立形

基本(中立形)


3.外旋・後屈形

外旋(後屈形)


伸びやかな姿勢でも、内旋・前屈形の姿勢では吸いづらく吐きやすくなり、基本形(非旋・中立形)の姿勢では吸いやすく吐きやすくなり、外旋・後屈形の姿勢では吸いやすく吐きづらくなります。

一般的な「山の体位」では、全体一致の原理に反して、脚を内旋させつつ骨盤を起立させ、背骨を中立させています。これでは、息は吸いづらく吐きづらくなり、「なんか息苦しい……」となるだけです。

また、一般的な「猫の体位」と「牛の体位」、いわゆる「キャット&カウ」や、「太陽礼拝」など、「前屈と呼息の一致」「後屈と吸息の一致」という原理に基づいて行われています。しかしながら、その全ては内旋形で行われているため、姿勢は全体一致しきれておらず、姿勢のリキミと呼吸のイキミが起こらざるを得ないのです。

姿勢と呼吸3

もちろん、アンバランスな姿勢では100%リキミが起こるため、イキミもまた100%起こります。次に、解りやすい後と後で比較してみます。

1.伸びやかな姿勢(後屈)

伸びやかな姿勢(後屈)


2.リキんだ姿勢(後傾)

リキんだ姿勢(後傾)


後屈姿勢は快適であるため、呼吸もまた快適になります。後傾姿勢は不快適であるため、呼吸もまた不快適になります。

見るだけでも、しんどく、息苦しい……。


私は、どのような姿勢でも、自由に呼吸を制御することができる。


そうではないのです。それは「自由に」ではなく「自分勝手に」です。姿勢の状態に合わせて、呼吸の状態もまた、自ずから然りと変わらなければならないのです。イキムにせよイキまないにせよ、姿勢の状態に協力して呼吸の状態も変化する、それが「姿勢と呼吸の一致」の原理です。足の向き一つ、手の向き一つ、顔の向き一つ変わるだけで、自然と呼吸も変化するのであり、姿勢を調えずして、呼吸だけを調えようとしても、それは原理的に不可能なのです。

● 調気(プラーナーヤーマ)

2-49

さて、坐りが調ったところで、調気を行ずる。調気とはあらい呼吸の流れを断ち切ってしまうことである。

佐保田鶴治著『解説ヨーガ・スートラ』 P113 より

姿勢から調えましょう。

次のレッスン

レッスン8