2020-07-02

2020-05-15

第7章 尊者

ダンマパダ:真理の言葉


90

すべてに対する執着から解放された者は、(輪廻の)旅を終えて憂いがない。すべての束縛を捨てた者には、苦悩は見出されない。

91

観照ある者は出家する。その者たちは家を楽しまない。沼を飛びさる白鳥のように、その者たちは家々を立ちさる。

92

その者たちは食物をよく理解している者であり、その者たちは蓄えることはしない。その者たちの解脱の境地は空にして無相であり、空をいく鳥のように、その者たちの行方は知りがたい。

93

その者の煩悩は滅し尽くしたので、食物(によって生きること)に依存していない。その者の解脱の境地は空にして無相であり、空をいく鳥のようにその者の足跡は知りがたい。

94

御者によってよく調教された馬のように、その者の諸感覚器官は静まっている。慢心を捨て煩悩のない者。そのような者を神々さえも羨む。

95

大地に等しく、門柱のような善行者は怒らない。泥のない池のよう(に清らか)な者には生死の繰り返しは存在しない。

96

その者の心意は寂静であり、言動と行動もまた寂静である。正しい知慧によって(生死の繰り返しから)解脱した者。そのような者は寂静である。

97

(誤った)信心なく、(記憶に基づいて)形成たものではない(あるがまま)を知り、生死の結束を絶ち切り、(生死の)機会を破壊し、欲求を吐き捨てた者。実にその者は最上の者である。

98

村であろうと、森であろうと、低地であろうと、高地であろうと、尊者の住むところは楽しい地である。

99

森は楽しい。誰も楽しまないところであろうと、離欲した者たちは楽しむであろう。その者たちは、愛欲を求める者ではない。


第7章 解説

「尊者」と題されているように、ブッダが説いた言葉の中から「尊い者の特性に関するもの」を主に取り上げています。ここでは「尊者」と題しましたが、原語は「尊ばれる者」を示す『アラハント(arahant)』であり、「阿羅漢」と音訳されてもいます。尊者は「覚めた者」、つまり『ブッダ(budha)』であり、悟りを開いた者です。

要点
尊者は、自分で自分を苦しめるという愚かな行為を止めていき、ついに苦しみの原因である汚れた心を滅ぼし尽くし、至高の安楽である涅槃に至った者です。尊者は、生と死の輪廻の世界から解脱した者であり、この世界に住んでいるように見えますが、その実もはや世界に住んではいません。その正しい見解の世界は、誤った見解の世界に住む者には、決して知られることはありませんが、それは天国に住む神々さえも羨むものです。それだから、遊ばず怠けることなく徳行に努め励み"ココ"へ来なさいと説いているのでしょう。

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