2012-06-04

緊張(4)

気ままの雑記から習う

梅雨入りを目の前にして、可愛いアジサイの花が咲き始めていますね。みなさまいかがお過ごしでしょうか、尾山広平です。

前回は、プログラムの働きを停止するための心理的なアプローチのお話をしました。さて今回は、身体的なアプローチのお話をします。

前回の記事はこちら

雑記26

2.身体的なアプローチ

大腰筋と腸骨筋

未処理のエネルギーを使う

体験時に身体君に溜め込んだ未処理のエネルギーを使い、慢性化した筋肉の緊張が解けると、頭の方ではその体験と関連付けた景色、音、匂い……など、トリガーとなっている気になる要注意データを片付け、それに伴うプログラムも役割を終え不必要であると判断・停止し、黄色点滅信号の発信を止める。というツナガリがあると考えられます。

もちろん、体験時にエネルギーを抑制せず、エネルギーを処理してさえいれば、その要注意データはその場で片づけられていたと考えられます。

中国の大地震や、アメリカの帰還兵などにも使われている、TRE(トラウマ解消エクササイズ)という療法があります。簡単に説明しますと、7つのエクササイズを行うことにより、身体君をブルブル・ガタガタと震えさせます。その震えが、トラウマ体験時に赤信号の発信により溜め込んだエネルギーを、根本的に処理することになり、主に大腰筋の慢性的な緊張を解すと考えられています。

ちなみに、前回の心理的なアプローチで紹介しましたPOP(プロセス指向心理学)では、未処理のエネルギーが不快症状を含め病気、夢、対人関係などとして現れていると考えられていますが、その可能性は十分にありそうです。

エネルギーを処理する自然な働き

なにも特別な療法を行わなくても、何十億年とかけて進化してきた身体君にはもともと、抑制され溜め込んだエネルギーをその場で処理し、筋肉の緊張をその場で解く働きがあります。

1.震える

怒りや悲しみの感情を抑えるだとか、高所に立つ、雷が鳴る、アガルなどの不安・恐怖を感じるだとか……そんなとき身体君はガタガタと震えます。また自分を守ろうとする身体君は、全身の筋肉を緊張させ身を抱えます。その溜め込んだエネルギーの向け先がないと(エネルギーを抑制する)と、身体君は震え出します。身体君は震えることで、自分を守るために溜め込んだエネルギーを処理していると考えられます。前述のTREでは、「震え」という、もともと身体君に備わっている働きを引き出すための技術だとしています。

雷が鳴ると犬も震えています。ライオンに襲われ、何とか逃げ延びたガゼルはしばらく全身を震わせているそうです。震えることは、自分を守るために溜め込んだエネルギーを処理する、最も効率的な方法なのかもしれません。

『紅の豚』スタジオジブリ1992

スタジオジブリ作品『紅の豚』の中で、豚と少女がアジトで空賊団に襲撃されたとき、気丈に振る舞っていた少女は、空賊団が去るや否や突然震えだしました。これは身体君に備わったエネルギー処理の働きを見事に描いているシーンといえます。エネルギーをその場で処理した少女にとって、おそらくこの襲撃体験は「単なる体験」となったことでしょう。

2.泣く

悲しみなどの感情エネルギーを溜め込むと、主に胸(胸椎4番)周りの筋肉が緊張するようです。泣くこととは、その溜め込んだ感情エネルギーを処理し、胸の筋肉の緊張をゆるめる働きと考えられます。「委ねる」で「素直に悲しむ」というお話をしましたが、素直に泣くことをしない(エネルギーを抑制する)と、胸の筋肉が慢性的に緊張します。そしてその体験はやはり「トラウマ体験」になり得ます。その体験と関連付けたトリガーを引けば、そのとき感じた不安、恐怖、悲しみ、無力感などを再び感じることになるということです。

3.その他

震える、泣く以外にも、怒る、アクビ、貧乏ゆすり、寝相、伸び……などあらゆる衝動的な身体反応は、溜まったエネルギーを処理し、筋肉の緊張を解くために身体君に備わっている働きとも考えられます。

では、なぜそのような働きがあるにもかかわらず、多くの人はエネルギーを溜め込むことになるのでしょうか?

エネルギーを溜め込む働き

それは、震えることは恥ずかしい、泣く男はダメな奴、怒る人はダメな人、アクビをすると怒られる、貧乏ゆすりをすると嫌がられる、寝相が悪い人はお子ちゃまと思われる……だとか学習したことにより[震える→危険][泣く→危険][怒る→危険][アクビ→危険][貧乏ゆすり→危険][寝相が悪い→危険]などのプログラムを持ってる場合や、これらの衝動を我慢する必要がある状況であると、エネルギーを溜め込むことになり、そのエネルギーは未処理のままとなるからだと考えられます。(※ もちろん怒りを抑えることは大人としてのマナーでもあります。怒りを我慢するのではなく、怒りを発生させない工夫をすることがヨガの練習です。)

体験時に素直に震えること、泣くこと、怒ることなどができなかった場合は、その感情を再び感じたときに、湧き上がる感情を我慢せず、エネルギーを処理すれば、その後はその体験を思い出しても、そのときに感じた不安・恐怖、悲しみ、無力感などを再び感じることはなくなり、その体験は「単なる体験」となると考えられます。

エネルギーを溜め込まないことが、健康&幸せでいることの条件として、いかに重大であるか……


紫陽花

次の雑記

雑記29

参考になりそうな記事

雑記19