2015-02-28
脚下照顧
今朝は冷え込みましたが、日中は暖かくなりましたね。明日は、毎年恒例となった地元の駅伝大会の日なのですが、どうも雨模様のようです。
さて、『脚下照顧(きゃっかしょうこ)』という言葉があります。早朝クラスにご参加の皆様は、毎朝目にする言葉ですね。
皆様はこの言葉をどのように解釈しておられるでしょうか?
禅の心髄!
言葉通り解せば、「脚の下を顧みて照らす」です。
そもそもは、鎌倉時代後期の臨済宗の僧であった孤峰覚明(こほうかくみょう)というお方が、中国大陸(元)に渡ったときに、ある僧に禅の真髄とは何かを問われ、そのときに答えた言葉が『脚下照顧』であったということのようです。
ですから、よく禅寺の玄関に飾られているわけです。
禅の真髄です!

ところで、『玄関』という言葉ですが、実はこれももともと禅寺で「玄妙(深奥)の道に入る関所」のこととされていたようです。
ですから、玄関にドーン!と真髄が掲げられているわけです。
脚下が指し示すもの
さて、脚下とは何を象徴している言葉でしょうか?
【脚下/足元】 『goo辞書』より
- 足が地についている所。また、その周り。
- 足の下部。
- ある人の、ごく身近な所。身辺。
- 足の運び方。歩きぶり。足どり。
- 苦しい立場。差し迫った状況。弱点。弱み。
- 物事を行うためのよりどころ。立脚地。足掛かり。足場。
- 家屋の地面に近い部分。縁の下や土台など。
- 近いこと。直近。最近。
- 「足元瓦 (あしもとがわら) 」の略。
当てはめてみます。(「照らす=自覚する」としました)
- 自分の足が地についている所を顧みて自覚せよ!
- 自分の脚の下部を顧みて自覚せよ!
- 自分の身辺を顧みて自覚せよ!
- 自分の足取りを顧みて自覚せよ!
- 自分の弱点を顧みて自覚せよ!
- 自分の拠り所を顧みて自覚せよ!
- 自分の土台を顧みて自覚せよ!
- 自分の最も近くを顧みて自覚せよ!
どれも、禅の真髄にふさわしい??
結局のところ・・・『灯台下暗し』という言葉がありますように、脚下とは光の当たらない暗闇の部分のことといえそうです。それはつまり、光(意識)に照らされていない暗闇(無意識)ということです。
ですから、

自身の無自覚な暗闇を顧みて自覚せよ! それが、脚下照顧の示すところと解釈できますでしょうか。
最もの身近な「私」を知ること
ところで、禅の真髄が『玄関』に掲げられていると聞くと、ギリシャのデルポイに建立されたアポロン神殿の入り口に刻まれていたという格言を思い出します。
γνῶθι σεαυτόν
読めません!
意味は・・・
汝自身を知れ
です!!
脚下照顧、汝自身を知れ、どちらも同じですね。早朝クラスにご参加の皆様、毎朝この文字を受け止めて、自身の暗闇を自覚し解放していきましょう!

一般的に「履物を揃えましょう」「足元に気をつけましょう」とも解釈されていますが、それも大切なことです。そして、足元(土台)を調えることから、心身の姿勢は調っていくのです。