2020-07-02

2020-05-15

第12章 自分

ダンマパダ:真理の言葉


157

もしも自分を愛しいと理解するのなら、賢い者は(油断なく)目覚め、(悪魔を見張り、自分を)守るべきである。(中夜さえも油断なく敵を見張り、堅固に守られた城のように。)

158

第一に自分こそを適切に確立せよ。次に他者に教示せよ。賢い者は、(慢心で)汚れることはない。

159

他者に教示するように、自分に(教示)するべきである。(このように)よく調教した者は、(自分を)調教するであろう。なぜなら(客観的にならなければ)自分とは実に調教しがたいものであるから。

160

確実に、自分は自分の守衛である。他の誰が(自分の)守衛であろうか? 自分によってよく調教された者こそ、得がたい守衛を得る。

161

自分から生じ、自分から起こり、自分によってされた悪(行)が、智慧のない者(である自分)を打ち砕く。岩石でできたダイヤモンドが、(岩石でできた)宝石を打ち砕くように。

162

その者に最悪の不徳があるのなら、その者は(その者の)敵がその者に対して求めるような行為を、自分に対してしている。

163

自分にとって無益なこと、悪いことはしやすいが、自分にとって有益なこと、善いこと、それはまさしく最高にしがたい。

164

智慧のない者の悪い見解に基づき、真理に従って生きる聖者、(目覚めた)尊者の教えを非難する者は自滅する。自滅するために実を結ぶカッタカ草のように。

165

事実として、自分からした悪いことが自分を汚す。自分から悪いことをしなければ自分は清まる。清まるか清まらないかは自分次第であり、(自分以外の)他者が(自分以外の)他者を浄めることはあり得ない。

166

他者の目的が多大であろうと、自分の目的を見失うな。自分の目的をよく理解し、自分の目的を追求する者であれ。


第12章 解説

「自分」と題されているように、ブッダが説いた言葉の中から「自分に関するもの」を主に取り上げています。

要点
自分を大切にしなさい。自分勝手好き放題、遊び怠けることは自分を大切にすることではありません。それでは増々と自分の心を汚し、自分を苦しめるだけだからです。自分を大切にすることとは単純に、自分の汚れた心を清め、自分を苦しめることを止めることです。これこそ誰にとっても唯一の自分の目的のはずです。これ以外に、いったいどんな目的があると言えるでしょうか!? もちろん自分の心ですから、自分以外の誰もそれを清めることはできません。このことを確実に理解し、大切な自分自身のために、徳行に努め励み、自分で自分を清め、自分の目的を完遂しなさいと説いているのでしょう。

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