2013-11-26

脱水症

気ままの雑記から習う

今では恋しい暑~い季節……? そんな時季には、「脱水症にならないようにコマメに水分をとりましょう。」という話はよく耳にします。しかし……この寒~い季節にも、脱水症はおこり得るのです。

さてはて、脱水症とはいったい何か?

脱水症とは?

体液が不足している状態のことを脱水症といいます。つまり水分と電解質が不足している状態です。脱水症は大きく3つに分けられています。

脱水症
  1. 高張性脱水(水分の不足・電解質の過剰)
  2. 低張性脱水(水分の過剰・電解質の不足)
  3. 等張性脱水(水分と電解質の不足)

原始生命は原始の海から発生したと考えられていますが、ヒトの体内で生きている細胞たち(60兆とも100兆ともいわれる!)の外側には、海水に似た成分で構成された液体があります。細胞たちは、この液体を通して必要物の吸収/不要物の排出をし、この液体の中で生活しています。この液体のことを体液(細胞外液)といいます。

ヒトの体液中には、水に溶けることで電気を帯びる物質(イオン)が含まれていますが、水に溶ける前の状態を電解質といいます。主なものはナトリウムで、その濃度は0.9%ほどに維持されています。電解質は体内のすみずみまで浸透していますが、この電解質により神経、骨、筋肉、臓器はその機能を維持しているといえます。

表1.電解質とその主な機能

電解質(陽イオン)主な機能
 ナトリウムイオン 体液の調節、神経の伝達、筋肉の収縮
 カリウムイオン 神経の興奮・伝達、筋肉の収縮
 カルシウムイオン 骨・歯の形成、血液の凝固、神経の伝達、筋肉の収縮
 マグネシウムイオン 酵素の活性、骨・歯の形成、筋肉の収縮
電解質(陰イオン)主な機能
 塩化物イオン 体液の調整、胃酸の分泌
 炭酸水素イオン 血液の水素イオン指数(pH)を7.4に維持
 蛋白イオン 循環血液量の維持
 有機酸イオン ?
 リン酸イオン 骨・歯の形成、ATPの供給
 硫酸イオン ?

1.高張性脱水(水分の不足・電解質の過剰)

たとえば、塩分濃度3.5%ほどの海水を飲んだり、塩っ辛いラーメンの汁などを飲んだり、発汗により水分が失われたり……すると電解質濃度が高くなります。その電解質濃度を低くするために、電解質を排泄しようとします。そのためには、前回の記事でお話をした通り"運び屋さん"である水が必要であり、その不足分を補うために喉が渇くことになります。

2.低張性脱水(水分の過剰・電解質の不足)

たとえば、水分だけをガバガバと飲むと体液の電解質濃度が低くなります。その電解質濃度を高くするために、水分を排泄しようとします(がぶ飲みの場合は)。しかし水分”量”が過剰ではなく、電解質が不足する場合は、生体は電解質濃度維持よりも体液量保持を優先します。ですからそのときには、その不足分を補うためには電解質を摂取する必要があります。

3.等張性脱水(水分と電解質の不足)

たとえば、下痢やおう吐などを起こすと、水分と同時に電解質も失われ、不足することになります。とくに乳幼児や高齢者は、下痢やおう吐による脱水症をおこしやすいと考えられますので、注意が必要です。

前回の記事はこちら

雑記51

経口補水療法(ORT:Oral Rehydration Therapy)

1971年、東パキスタン(現在のバングラディシュ)で内戦中のこと。インドの難民キャンプでは、コレラにより3人に1人が命を落とすほどでした。その主な原因は、下痢による体液の不足であると考えられたので、医療班は経口補水療法を実施しました。これにより、コレラによる死亡率を30%から3.6%にまで減らすことができたといわれています。

その後、ORTは世界中で注目され始め、ORTの成果は”20世紀最大の医学上の進歩”とまで、医学雑誌『ランセット』(1978年)で取り上げられたようです。

経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)

経口補水療法とは、経口補水液という水分と電解質を含んだ飲料を摂取する療法です。また経口補水液には、脱水時に不足する電解質に加え、より素早く吸収できるように、糖分が配合されています。水の25倍の吸収率があるといわれています。

スポーツドリンクもまた、水分と電解質をいかにすばやく吸収させるかを研究して作られている飲料ですが、経口補水液はその10倍の吸収率があるといわれています。

水よりも、ヒトの身体に近い水。。。


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