2020-07-02

2020-05-15

第3章 心

ダンマパダ:真理の言葉


33

心は、(怯えて)震え、(好き嫌いに)揺れ、守りがたく、制しがたい。(そのような心を、)智慧ある者は正しく扱う。矢を正しく扱う弓師のように。

34

(心は)水から陸へ引き上げられ、陸地に投げ出された魚のようである。そのように怯えている心は、悪魔の領域(である汚れた心意を)を捨てるべきである。

35

(心は、)素早く欲するところへ向かうため制しがたい。(そのような)心を、調教するのは善いことである。調教した心は安らぎもたらす。

36

(心は、)極めて微妙に欲するところへ向かうため極めて見がたい。(そのような)心を、智慧ある者は(見)守る。(見)守られた心は安らぎをもたらす。

37

心は、身体はなく洞窟におり(勝手に)一人で遠くへ向かう。(そのような)心を(賢い)人々は制するであろう。(そして)悪魔の支配(である汚れた心意)から解放されるであろう。

38

正しい真理を理解せず、心が確立しておらず、(真理への)信心が不安定な者には、智慧の完成はない。

39

心に煩悩がない者、心に混乱がない者、善悪(の分別)を捨てた者、覚醒した者。これらの者に恐怖はない。

40

この身体は(脆い)水瓶のようなものであると知り、この心を(堅い)城壁に囲まれた街のようなものの中に置いて、知慧の武器を用いて悪魔を攻撃せよ。(その街の中に)安住することなく、勝利を守れ。

41

ああ! まもなくこの身体は大地の上に横たわるであろう。意識を失い、いたずらに捨てられた丸太のように。

42

敵がその者の敵にする(悪い)ことより、また恨みのある者が他の恨みのある者にする(悪い)ことより、不正に向けられた心は、それより更に悪いことをその者(自身)にするであろう。

43

その者に対し、母や父がする(善い)ことより、また他の親族がする(善い)ことより、正しく向けられた心は、それより更に善いことをその者(自身)にするであろう。


第3章 解説

「心」と題されているように、ブッダが説いた言葉の中から、「心の特性に関するもの」を主に取り上げています。もちろんのことですが、第3章に限らず、ダンマパダには心について説いているものが多いです。

要点
汚れた心意を浄め、苦しみを取り除くためには、心を制御しなければなりません。しかし、心とはまったく思い通りにはならないものです。それでも汚れた心意を清めるなら、その心は当人に安らぎを与えてくれるという真理と、遊び怠けて汚れた心意を放っておくなら、その心は当人に苦痛を与えるという真理を理解し、心意を制御し、汚れから心を守り、清らかな心に調えてていきなさいと説いているのでしょう。

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