2020-08-??

第14章 3気質の分別

バガヴァッド・ギーター:至高者の詩


第14章 解説

「3気質の分別」と題されているように、3種類の気質について、クリシュナが説明しています。ここでの「気質」の原語は『guṇa(グナ)』であり「性質、徳質」などを示しています。気質には「純粋質」「激動質」「停滞質」の3種類があり、それぞれの原語は『sattva(サットヴァ )』『rajas(ラジャス)『tamas(タマス)』です。

あらすじ

クリシュナが、自然性から生じる気質について説いていきます。

自然から生じる「純粋質」「激動質」「停滞質」という気質は、身体における意識を束縛すると説明します。

純粋質
  • 無垢、照明、健全を本性として、智慧を生む
  • 身体における意識を「安楽、智慧」に執着させる
  • 死後、天国へ昇る、あるいは聡明な母胎に再誕生させる
  • 智慧に基づく行為の結果、心を清め智慧、安楽を増進させる
激動質
  • 激情を本性として、貪欲に基づく行為を生む
  • 身体における意識を「行為」に執着させる
  • 死後、行為に執着する者として地上に再誕生させる
  • 貪欲に基づく行為の結果、心を汚し貪欲、苦悩を増進させる
停滞質
  • 智慧を覆い隠して、無智(誤謬)、暗愚、怠惰、狂気を生む
  • 身体における意識を「怠惰、狂気、睡眠」に執着させる
  • 死後、地獄に墜ちる、あるいは愚鈍な母胎に再誕生させる
  • 無智に基づく行為の結果、心を狂わし無智、狂気を増進させる

そして、意識性(見るもの)がこれらの気質こそが万象の創造者であると見極め、意識はこれら3気質を超越して在ると両者の本性を識別するとき、意識として在るその者は、生老死の苦しみから解放され、私のもとに来ると説明します。

するとアルジュナが、これら3気質を超越した者はどのような特徴がありどのように振る舞うのかに加え、どうすればこらら3気質を超越するのかを問います。

クリシュナが、3気質を超越した者とは自然と現れでるこれらを避けることなく、自然と消えさるこれらを求めることなく、惑わされることがない。粘土と岩石と黄金、快と不快、毀誉と褒貶、名誉と不名誉、敵と味方、苦と楽を平等と見なし、自己に確立し、意図を放棄していると答えます。

そして、私を確固と信愛することによって3気質を超越することになると答えます。


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