心構え
10月を目の前にしてから、眠るときは暖かい恰好でなくては、寒く感じるまでになりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。尾山広平です。
先月16日(金)、名古屋大学教育学部附属高等学校の学校祭の一環としてヨガの講義をやらせていただきました(→ 講義内容)。今回の講義のお蔭で、多くの気づきもあったりと、とても有意義な時間でした。講義の中でも話しましたが、風邪を活用して身体のバランスをいっきに組み替えるのも身体調整の一つです。季節の変わり目である今は、そういう時季でもあります。症状をあまり抑えないようにしましょう。
さて今回は(これも講義の中でも話したのですが)、”心構え”についてのお話をしたいと思います。
心の向きを定める
一般的に「ヨガ」と聞いてイメージするのは、ヨガ独特の色々なポーズではないでしょうか。しかしポーズの中には、一般的には「ストレッチ(筋肉を伸長させる技術)」として認知されているポーズもあります。先日、体験クラスを受講された方も「ストレッチ体操みたいなものですね。」とおっしゃっていたほどですから。ストレッチや体操とヨガの違い。それはいったい何でしょう? それはもちろんなのですが、「目的」の違いです。
ヨガをするとは、「心の働きを止める(静める)」ためにすることです。言葉を変えると、「余計なことを考えない = 集中する」ためにすることです。それを目的に行えば、それは「ヨガ」と言えるでしょう。
本来のヨガの目的は、一時的に心の働きを止める(静める)ためではなく、心の働きを止滅し、心から永久に離れる事にあるのじゃ。そのために、余計なことに関心を向けない離欲と、意識に集中する修習を実践するのじゃ。
2020/01/08
そして、より集中を深めるために、「心構え」が役に立つのです。心構えとは「集中するための心の準備姿勢」です。心構えがあるかないかが、ヨガの質、つまり集中の質を変えることになるのです。
普段の授業での集中の対象は、主に自分の内側から来る「感覚」ですから、まずは「感覚に集中しよう」という心構えが大切です。
心構え
- 自分の幸せのためにすること
- 自分と対話しながらすること(= 感覚に集中すること)
- 無理をしないこと(= 感覚に集中すること)
- したいことをすること(= 感覚に集中すること)
- 他人を気にしないこと
- 自分を好きになること
- 自分から自分を見ること
- 自分を受け入れること
とまあ、「取り組み方」に書いていることを並べてみました。どれも別々ではなく、つながっています。
現在「取り組み方」ページはございません。
2020/01/08
たとえば、「他人を気にすること」をしていては、「自分と対話すること」、つまり感覚に集中できません。また、他人に柔軟性や持久力がないと思われたくないからと「無理をすること」になるかもしれません、つまり感覚に集中できません。他人を気にするのは、他人からの目で自分を見ており、「自分から自分を見ること」ができていないのです。そしてそれは「自分を受け入れること」ができていないからです。
事実確認
もし「他人から認められたい欲(行動指針)」が起動して、誰かに見せるためにポーズを取ろうとしたり、取っていたりしたら、まずそのことに「気づくこと」が必要です。この「気づくこと」というのは、結構難しいです。感覚に集中しているつもりでも、頭の中には、常に他人からの目がチラチラとしているかもしれないからです。
そして、気づくことができたら、それを認めることです。「あぁ、自分は今他人に認められたいと思っているなぁ。」と事実をそのまま事実として認めるだけです。つまり、「自分を受け入れること」をします。気づきさえすれば、あとは事実確認をするだけということです。そしてまた集中します。
「気付く事が出来たら、それを認める事」と言うより、単に認めておる事(認識)それが「気付き」と言えるのじゃ。それは、受け入れるというよりは、その事実に対して事実として以外の関心を向けぬ事なのじゃ。
2020/01/08
瞑想の実践
『集中 → 気づき → 認める → 集中』このサイクルが、集中を深めていくことであり、瞑想です。これを繰り返すことで、「他人から認められたい欲」が自動起動しなくなることも多いです。そうなれば、より一層集中できるというわけです。
「気づき」=「認める」なのじゃ。集中瞑想であれば「集中 → 集中の断絶 → 集中の断絶への気付き → 集中」というサイクルなのじゃ。
2020/01/08
自動起動しなくなるのは、他人から認められなくても、なにも問題ないことにやがて思えてくる、つまり他人から認められようとする思いが段々と小さくなってくるからでしょう。また、事実をそのまま事実として認めることで、やがて自分を受け入れることができるようになるからというのもあるでしょう。
かといって、ヨガの最中(瞑想中)は、他のことに心が向いたことに気づいたら、また集中する、ということの繰り返しですから、欲を観ることには不向きといえます。ですから、日常生活での方が、何かしら自分の欲が起動したことに気づく練習はしやすいかもしれません。欲(行動指針)が自動起動しなくなるほど、心地よい生活になっていくはずです。日常生活にも、この「心構え」を活かしていきたいものです。