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名古屋大学教育学部附属高等学校 講義録


講師:尾山広平


名古屋大学教育学部付属高等学校 講義録


はじめに
このページは、2011年9月16日に名古屋大学教育学部付属高校で行われた学校祭の一項目として、ヨガの講義をさせていただいた内容をまとめたものです(なんとなく思い出せる限りであり、話した通りではありません)。
普段の教室では決してできない有意義で貴重な時間を過ごすことができました。この機会を与えてくださった役員の方々や先生方、生徒のみなさん、本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。来年も是非ともやらしていただきたいと思っております。


生徒のみなさんへ
参加してくれた生徒のみなさん、私のつたなく、まとまりのないであろう話も、明るい雰囲気で、しっかりと聞いてくれて、本当にありがとう。みなさん楽しめたでしょうか? 楽しんだでしょうか? 私は、ホント楽しみました。
ヨガをすると不調でいることができなくなります。ヨガをすると不幸せでいることができなくなります。みなさんがヨガに興味を持ってくれたなら、これほど嬉しいことはありません。

お話する内容を用意して、それを見ながら話したものの、まとまってなかったかな~というのが私の感想です。みなさんの中にも、何が言いたいのか分からなかった人もいると思いますので、講義内容を追加、修正し、まとめてみました。また、お話ししたくてもできなかった内容を、補講として載せておきました。よかったら目を通してみてほしいと思います。

また、今回の講義やヨガに対する、質問、意見、感想、何でもいいですので、聞かせてくれたら嬉しいです。         質問、意見、感想へ

本当にありがとうございました。心から感謝しています。


目次

その1 ヨガについて

その2 ヨガと健康

実技

その3 ヨガと幸せ

補講 ヨガと集中力


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その1 ヨガについて

1.ヨガとは?

では早速ですが、ヨガってなんだと思いますか? ヨガって何のためにしていると思いますか?

―― 体操……? 健康になるためのもの……? 

はい、正解を言うとですね、ヨガは哲学です。


2.哲学とは?
じゃあ、哲学って何か知っていますか? 僕が高校生のころは、哲学という言葉を知識として持っていなかったように思います。哲学とは何か……? 
哲学を辞書で引くとですね~『世界・人間・事物などの根本原理を思索によって探究する学問』とあります。何を言っているのかさっぱり意味が分かりませんが……。簡単に言うとですね、この世界とはいったい何か? またこの世界にいる自分はいったい何か? を考える学問です。

僕は子供のころから、宇宙ってなんだろう? 宇宙は何のためにあるのだろう? 何故あるのだろう? 宇宙には果てがあるのだろうか? でも果てがあってもその外にはまた何かあるはずだし、果てがあるはずがない、果てがないとはどういうことだろう? 自分はなぜここにいるのだろう? 自分は死んだらどうなるのだろう?

などと疑問を持っていました。

これらの質問に答えることは誰もできません。この中で、答えることができる人はいますか? 私はこれこれこういう存在で、○○するために今ここにいます!! と言える人いますか? いないですよね。
しかし、これに答えているものがあります。それはいったい何でしょう? 何でしょうか?

―― 宗教……。

おお~そうです。宗教です。宗教はこの質問に答えています。といっても本当のところ、僕はよく知らないのですが……。


3.宗教とは?
宗教というと世界には色々あるのですが、キリスト教、イスラム教、仏教の他にも、ユダヤ教、シーク教、ジャイナ教、ゾロアスター教……などなど聞いたことがあるのもあるかと思いますが。

宗教と聞くと、自分とはあまり関わりがないと思っているかと思いますが、正月の初詣、お盆、お彼岸、七夕などは仏教と関わりがありますし、キリスト教を始めたとされるイエスの誕生日がクリスマスです。日本人がなぜクリスマスを祝うかは知りませんが、このように、宗教ってのは、生活に根付いているんですね。

世界的に見て、日本人ほど宗教に無関心な人は、とても珍しいです。僕は10年ほど前、海外をぶらりと放浪したんですが、そこでもみんな宗教を信仰していて、旅行者の僕を見て、初めの言葉が「君はブッディズムかい?」と聞かれるくらいでした。ブッディズムというのは仏教徒のことです。で、僕は、僕の名前は広平というんですが、「コウヘイズムだ」と答えて、その場をしのいでいました。
海外の人たちが神を信じることが、そのころはとても不思議でしたが、向こうの人たちにとっては、僕の方こそ信じられないことだったろうと思います。
宗教のことなど、それまで考えたこともなかったのですが、でもですね、いざ考えてみると、宗教って人が生きるうえで大切なのかもと思いました。

ずっと昔も今も、「人が生きること」と「宗教」は密接に関わりあっているんですね。


4.ヨガの始まり
では、ヨガの歴史についてお話したいと思います。ヨガの始まりはですね、インダス文明と言われています。インダス文明と言ったら、インドとパキスタンあたりで栄えた文明です。昔は世界4大文明と言われていましたが、今は他にもたくさん文明が発見されているので、そうは言わないらしいですね。
だいたい紀元前3000年ころ、え~今から5000年ほど前ですね。

でですね、それから1000年以上たったとき、アーリア人がインドを侵略しました。アーリア人というのは、バラモン教という宗教によって、その土地にいた人を支配しました。戦争によって力ずくではなく。バラモン教は自然の力を崇める宗教で、儀式を通して自然の背後にいる神々と一体になり、豊作、作物を育てたり、人を癒すことをしていたようです。よく知りませんが、まあ、怪我や病気を治していたのでしょう。

そんな儀式で神と一体になることで、そこに住んでいた人々を支配していたバラモン教ですが、予算がなくなってきます。そこで神と一体になるためには、儀式の中でも何をすればいいか? 本当のところどうすれば神と一体になれるのか? 論理的に考えるという、哲学的な探究に変わっていきます。

そして、最後に残ったのは、「姿勢を正して座り、呼吸を整え、ある対象に意識を集中する」という方法でした。これはいわゆる瞑想です。そしてこの瞑想行が、のちにヨガと呼ばれるようになりました。つまり、ヨガというのは瞑想のことです。
瞑想というと、日本では禅というものがありますが、禅って分かりますか? 何となく分かるかな? そうそう、お坊さんが座って目を閉じているアレです。ヨガと禅は基本的には同じものです。禅も元々インドからやってきたもので、禅はヨガから来たとも言えます。


5.ヨガと神
ええっと、神という言葉が出てきましたが、インド哲学でいう神っていうのはですね、お髭を生やして杖を持ったお爺さんではないですし、日本の七福神のように人の形をしたものではありません。インド哲学のいう神は、コレコレこういうものを神と呼びましょうっていう決めごとです。インド人ていうのは信じる信じないの話をせず、結構現実的なようです。
でですね、どういったものを神と呼んでいるかというと、「この宇宙のあらゆる現象を引き起こしている根源的なエネルギーを生み出す素材」のことです。何を言っているのかサッパリだと思いますが……。

インド哲学では、すべてはエネルギーで創られていると言われています。人も物も、この机も、すべては同じモノから創られているということです。このことは科学的にも言えることだと思いますが、すべては分子からできているのですから、人もこの机も同じモノからできているといえます。

ちなみに、インド哲学では、この机も生きていると考えます。人も机も同じエネルギーですから、そのエネルギーの働きがあるということが生きていることといえます。ですからすべては生きているということです。
人は生きていますよね、細胞も生きていますよね、じゃあ分子は? 生きていない? でも、分子も生きていると考えた方が自然だと思います。
生きていないものから、生きているものは生まれないのではないでしょうか? 

分子にも近づく働きと、遠ざかる働きがあります。人にも同じように好きなものに近づいて、嫌なものから遠ざかる働きがあります、これは分子が遠ざかったり近づいたりする働きが、人の心を働かせているかもしれません。
(「生きている」とは、「何かしらのエネルギーの働き=エネルギーの変化」があると考えることができます。この世界のすべてはエネルギーの変化でと考えられますから、すべては生きているとも言えるのです。

とにかく、すべては同じ(一つの)エネルギーからできているということです。


6.錯覚の世界
すべてはエネルギーでできていることを、もう少し実感というか、まあ理解できるように、少し理科の話をしたい思います。

今、このホワイトボードが見えていると思いますよね、そしてホワイトボードがあると思っているでしょうが、ホワイトボードを見るとはどういうことかというと、光がここにあるナニカに当たって反射し、その光が目に届き、目から脳に信号が伝わり、その信号を受けた脳が映像(色)を作り出すわけです。だからですね、ここにあるホワイトボードに色なんかありませんし、そして形もありません。世界には色なんてないんですね。このボールペンにも色はありません、ただ脳が色を作り出して、形を作り出しているだけです。

音も匂いもそうです。音があるのではなく、音は耳からの信号が脳に伝わり、脳が音を作り出しているだけです。
でも現にこうして机に触れるじゃないかと、形があるじゃないか、と思うかもしれませんが、それもやはり脳が作り出したことです。実は物に触れることもできていないって知っていました? ホントは触れていると思っているだけで、これ触れていないんですね。
怖い話になってきましたが、原子核と電子がありますね、一昔前までの図ですが、原子核の大きさを1mmとしたら、電子までの距離はどれくらいか知っていますか? 僕も細かいことは知らないのですが。分かる人いますか?

―― なんか習ったね、1キロだっけ

はい、答えよりも大きな数字を言われたので、もう書きます……。


原子


50メートルです。さすがに1キロもないのですが……。(一昔前までのモデルですが)物質というのは空っぽでスカスカ(と考えられていた)なんですね。人がこうして物に触れることができるのは(と感じるのは)、単に指と机が電磁気的に反発しあう性質があるらです。細かくは僕も分からないのですが……。その反発の刺激が感覚神経を通って脳に伝わり、脳がその触れているという感覚を作り出しているから、形があると思うだけです。別にモノに形があるから触れることができるわけではないということです。ちょっと怖い話ですが。


7.私とは?
で、ですね、ここからいよいよヨガの核心に入っていくのですが、私とは何かという話です。ヨガは哲学ですから、私とは何か? を考えていきたいと思います。

私っていると思いますか? もちろん私はいるでしょう。と思っていると思います。いや私はいないという人はいないと思います。やっぱり私はいるだろう。。って思いますよね。ですがですね、実は……私なんていません。そんなバカな~私はここにいるじゃないか、確かに私はいる。確かに私はいると思っていると思いますが、ここでいう私がいないというのは、私を形作る中心というか、私という実体はありませんという話です。
私がいると思うのは、私がいると思う(思う働きがある)から、私がいると思うということです。私なんていないと思えば、私はいなくなります。
私というのも、脳の錯覚であり、エネルギーが変化しているという「働き」があるだけだということです。


8.ヨガの目的
では次にですね、ヨガの目的は何かということですが、ヨガの教本である『ヨガ・スートラ』という本にヨガの定義が書かれています。「ヨガとは、心の働きの止滅である」です。何を言っているのか分からないかと思いますが、ようは、心の働きを止めるということで、これは武道なんかでもよく言われますが、無心だとか、無我だとか、無の境地だとかそういう状態になることで、それがヨガの目的です。

で、心の働きが止まるとどうなるかというと、心の働きが作り出していた「私」もいなくなります。「私」がいなくなるとですね、初めて、「本当の私」を体験できますと言っています。また「神と一体」になるともいえます。今ここで、心の働きを止めれたら、「おお~っ私は神だ!!」となるかもしれません。実はみんな神様なんですね。仏教でも一人ひとりみんな神様(仏)ですよということを説いています。

哲学というと普通は、西洋哲学のことで、これは昔のギリシャからず~と今まで続いていて、頭を使って世界を考える学問なんですが、ヨガ哲学は、考えるわけじゃなく、自分で体験することで世界を知ろうとするんですね。

ちなみにですね、西洋哲学でもですね、頭で考えていては、分からないはずだと、理性の働きを抑えること(頭の働きを止めること)をして、神様と一体になるという体験をしていた哲学者もどうも何人か(も?)いたようです。


9.ハタ・ヨガ
みんながヨガと聞いて思い浮かべるのは、身体を動かしたり、ポーズをとったりするものだと思います。そのようなヨガをハタヨガと言います。ヨガと聞いて、座って目を閉じて瞑想をするだけとは思っていなかったことと思います。それじゃあつまらないですし、身体を動かしたいからここ来たんだと思います。
ポーズを取ることで、心の働きを静めようとするヨガがハタヨガです。やはり目的は心の働きを止める、ということです。



その2 ヨガと健康

1.健康と美容
ではいよいよ、みなさんが興味あるであろうですね、健康と美容のお話をしていきたいと思います。みなさんはとくに美容に興味を持っていると思いますが。
美容と言ったら、今は、特に痩せているとか、スタイルがいいとか、足がほっそりしているとか思い浮かべると思います。あとは、肌がツルツルスベスベとかもそうですね。美容というのは、健康ということと同じことだと思ういますが、どうでしょうか? 健康と美容って同じことですよね、違うと思いますか? 健康じゃないのに美しいというのはないと思います。こんな風に背中を丸めている人を見て美しいと思わないと思います。美しいと感じるのは、元気でエネルギッシュな人ですよね。

みなさんも美しくなりたいと思うのなら、健康を目指してください。いくら痩せても美しくなれないと思います。無理な食事制限をしたら、痩せるとは思いますが、美しくはなれないし、身体も弱くなり元気もなくなります。


2.無理をしない
あの~ですね、無理をしても美しくはなれません。美しくなりたいなら無理をしないでください。今無理をしないと言いましたが、じゃあ無理ってどういうことかということですが。「無理」を漢字で書くと……


無理


ええっと、「無」は分かりますね、まぁ、ないということです。じゃあ「理」はどういう意味でしょうか? 

――

ええ「理」はですね、「法則」という意味です。法則って何かっといったら、宇宙の法則です。この宇宙に働いている法則、働きのことです。まぁつまりですね、簡単に言ったら身体に働いている法則のことです。無理をしないというのは、身体の働きに逆らわないということです。

無理をしない食べ方でいうとですね、食べたいときに、食べるです。こんなことをいうと先生に怒られてしまいそうですが、食べたくないものは食べない。食べたくないということは、身体が必要としていないということでしょうから、食べたくないものを食べるということは、無理をしているということになります。そして、食べたいだけ食べるというのが無理のない食べ方です。足りなかったり、食べ過ぎたりするのは無理をしているということです。身体が満足するまで食べるのが、無理のない食べ方です。といっても授業中お腹がすいても、早ベンするわけにもいかないだろうし、そうきっちりきっちりしない方がいいです。今お腹がすいていないから、絶対に食べないとかいわず、たまにはお腹がすいていなくても食べるくらいでも、ほどほどにしておきましょう。

食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ、食べる。これが身体に無理のない食べ方ということです。が、かといって、お菓子を食べたいだけ食べるのはどうかとは思います。別にお菓子が身体に悪いと言うつもりはないのですが、やはり自然なもの(あまり加工されていないもの)がいいと思います。

でですね、無理をする、身体の働きに逆らうから、身体の調子がおかしくなるのですが、ここでちょっと風邪についてお話したいと思います。え~風邪って病気だと思いますか? 風邪って身体の弱い人がひくと思いますか? それとも寒む~って身体が冷えると引くと思いますか? 

――

風邪といっても色々な症状がありますが、どんな症状があるでしょうか?

―― さむけ

はい、さむけ、他には何かありますか? 

―― のどが痛い

そうですね。

―― はなみず、咳、

そうですね。あとは何かないですか?

――

あと下痢もありますね。食欲がないというのがありますね。あと頭が痛くなるというのもあります。


                                       下痢
                                       のど
                                       はなみず
                                       せき
                                       さむけ
                                       食欲がない
                                       あたまが痛い


はい、このように風邪と言っても色々な症状があるのですが、これらの症状はですね、実は身体が自分を調整する働きと考えることができます。これらの症状を経過することで、身体はバランスをとろうとしているということです。
下痢って何のためだと思いますか?

―― お腹の中をきれいにする

その通りですね、お腹に溜まった要らないものを一気にバサーっと出すわけです。これは何も風邪のきだけじゃなくて、どんなときも下痢っていうのは、要らないものを出す働きです。だから、もし下痢を薬で止めちゃったら、身体の中には、要らないものが溜まったままですから、身体はおかしくなるでしょう。
ではノドが痛くなるのは、何ででしょう? んん~何ででしょうね。ノドが痛くなるのは何でか? 分かりません……。でもきっと必要があってノドが痛くなるのだと思います。
鼻水は、下痢と一緒でしょうね、要らないものを出す働きがあるんだと思います。
咳というのも出す働きもあると思いますが……ちょっとみなさん今から咳を出してみてください。ゴホッ、ゴホッと。今体の中にどんな感じがあるでしょうか? 実は咳をすると胸の筋肉がゆるむんですね、胸でつかえていた血液も流れると思います。もちろんそういう考え方もできるということですが……。ですから咳は、身体に響かせてしっかり出してみてください。より効果的だと思います。
寒気っていうのは、熱があることだと思うのですが。熱は何のためにでるでしょう?

―― 殺菌

おおっすごい。そうですね、殺菌。身体の中にいる細菌をですね、殺菌するためとい言われています。あと最近の科学(医学)では、ガン細胞も殺す働きがあると言われています。
頭が痛いのはですね、頭蓋骨が元の位置に戻るときに痛むともいわれています。頭蓋骨ってのは実は動いているのですが、ゆがんだ状態から元に戻るときにどうも頭が痛いようです。

風邪のような症状の他にも、身体が自分を調整しようとする働きに”動く”というのがあります。たとえば伸びをするのも身体が自分を調整する働きです、朝起きたときにする伸びは、身体を調整するためのものなんですね。あとアクビというのもそうです、アクビをすると首の筋肉がゆるみ、そして血行もよくなるのでしょう。あと、貧乏ゆすりというのもそうですし、ため息もそうです。要らないものを出すことになりますね。肩の力もぬけてゆるみ、リラックスっすることにもなるでしょうか。寝相というのもそうですね、動くことで身体を調整しようとしています。寝相が悪い人というのは、身体が疲れている人かもしれません、疲れていない人というのは、し~んと静かに寝ていると思います。

まあ、薬を飲んで熱を下げたり、下痢を止めたり、咳や、くしゃみ、鼻水を止めたりは、身体の働きに逆らっていることになりますから、健康から遠ざかることになるでしょう。まぁ薬を飲むな、と言っているわけではありませんが、身体の働きに逆うことになるから、できれば薬は飲まない方がいいと思います。あとは、眠たいときに眠らなかったり、お腹がすいていないのに食べたり、トイレに行きたいのに行かなかったり、牛乳を飲みたくないのに飲んだり、動きたいときに動かなかったり、疲れたときに休まなかったり。運動もし過ぎは無理になります、動いて気持ちいいなあと思えているときは、身体にいいのでしょうが、気持ちよさがないのなら、それは無理になります。

美容と健康のためにはとにかく、無理をしないことです。


3.緊張と弛緩
それとですね、健康でいるためには、緊張と弛緩のバランスをとることが大切です。緊張と弛緩です。弛緩って分かりますか? そう、緊張の反対です。ゆるむということです。で、緊張と弛緩のバランスをとるというのは、簡単に言うと、昼はよく動いて、夜はゆっくり休むということです。この緊張と弛緩のバランスをとることは、身体が自分を調整する働きである自律神経の働きと関係しています。ですから緊張と弛緩のバランスをとることは、身体が自分を調整する働きを高めるということです。
ヨガでは、緊張と弛緩を必ず繰り返すんですね、ポーズを取ったあとは必ず休んで、またポーズを取って、また休んでと、この繰り返しです。ですからヨガをすると、身体を調整しようとする働きが高まり、健康になるといえます。


4.心の働きを静める
あと健康でいるためには、心の働きを静めるということが大切です。頭(心)の働きが静まることと健康? そんなの関係あるの? と思いますよね。なんで頭の働きが静まることと健康と、関係があるのか? 何ででしょう? 頭の働きが静まると健康になる。なんでか分かる人いますか? 

――

え~っとですね、頭が働いていると、身体が休めないからです。頭が働いているというのは、自分を守ろうとしているんですね、自分の身を守ろうとしています。そんなとき身体は休むことができません。休めないから身体は自分を調整することができないということです。ヨガは頭の働きを静めることが目的ですので、身体も休むことができ、身体は自分を調整する時間が持てますから、ヨガをすると健康になるといえます。

ええ~っと、ではここまでをまとめますと、健康でいるためには、無理をしないということと、緊張と弛緩のバランスをとるということ、そして頭(心)の働きを静めることです。



<実技>
では、ここからはヨガの実技をいよいよしていこうかと思うのですがですね、ここまでヨガについて色々と話してきたのですが、ヨガは心の働きを静めることが目的ですので、ヨガに取組むときの心構えというのが大切になってきます。これからポーズを取ったりしていくのですが、そのポーズが体操になるか、ヨガになるかはこの心構えがあるか、ないかということです。
で、その心構えはというと、身体の働きに従うことです。つまり無理をしないことです。これは気持ちいいことをするということで、痛みとか、不快を感じることをやらないことです。気持ちいいことをしてください。あと、緊張と弛緩を繰り返すことです。ポーズを取ったあとはしっかりと力を抜いて休む、リラックスするということです。そして、心を静めることです。で、心を静めるにはどうするかということですが、集中をします。集中をすると頭(心)の中は静まります、ですから、集中をして取り組みましょう。

でですね、ヨガをやっている最中は、呼吸に集中していきましょう。話をしていなかったのですが、呼吸というのは身体にとってとても大切でもありますので、今から呼吸に集中していきます。


                                無理をしない(気持ちいいことをする)
                                緊張と弛緩を繰り返す
                                心の働きを静める(呼吸に集中する)


実技で話した内容は、省かせていただきます。ヨガを習ってみたいな~という人は、はじめだけでもヨガスタジオなどで教えてもらうことをお勧めします。上記の心構えさえあれば、より美しく健康になるとは思いますが、他にもいくつかポイント(心構え、動き方、ポーズの取り方、呼吸の仕方……等)がありますので、そこを習った方が、より効果的だと思います。

行ったことは以下の通りです。

準備ポーズ

メインポーズ

リラクゼーションのポーズ



その3 ヨガと幸せ

幸せとは?
ではそのまま、最後にお話しますので聞いててください。ええっとですね、最後はヨガと幸せということでお話したいと思います。
なぜ美しく健康でいたいかといえば、それは幸せになりたいからです。もし痛みがあったり、だるかったりしていては幸せではありませんから、健康でいたいと思う訳です。どんな人でも必ず幸せを求めています。それは人の心に備わった性質です。ですからどんな人(心)も必ず幸せを求めています。健康を求めるのも、美容を求めるのも、大学に行きたいのも、お金持ちになりたいのも、それはそれが手に入ったら幸せになれると思っているからです。

ヨガは、何かを手に入れることはしませんが、ヨガをすると幸せになります、幸せになるというより幸せを感じやすくなります。ではですね、みなさんは、どんなときに幸せを感じるでしょうか? 今から少し考えてみてください。

――

幸せってのは、満足しているときに感じますね。不満を持っているときに不幸を感じます。不満を持っているときになんで不幸を感じるかというと、頭が働いているからです。「○○が欲しい、でもない、でも欲しい、でも……」とですね、頭は忙しく働いています。不満をもっているとそれを解決しようと働く訳です。そんなときに人は不幸を感じるんですね。
人は幸せなのが基本です。元々人は幸せなのですが、頭が働きすぎていると不幸を感じます。ですから、不幸を作り出している頭の働きを止めれば、自動的に幸せになります。で、ヨガは頭の静める(止める)ためのものですので、ヨガをすると幸せを感じやすくなるということです。


2.無理をしない工夫
少し話が変わりますが、みなさんには受けたい授業もあれば、興味のない授業もあるかと思います。授業を受けなきゃいけない、じゃなきゃテストで点も取れないし、という人もいると思います。これはやりたくないことをやっているということですから、無理をしているということです。頭の中は忙しく、不幸感も感じることになります。

やりたいことと、やりたくないことの違いは何かといいますと、やりたいことというのは、やりたい理由を持っているということです。やりたくないことというのは、やりたい理由を持っておらず、やりたくない理由を持っているということです。ですから、やりたくないことを、やりたいことに変えるには、やりたい理由を見つければいいということです。単にそれだけのことです。
ヨガでは、やりたくないことを、やりたいに変えるとか、心の働きをコントロールできるようになる必要があります。まぁ最終的には止めようとするのですから、心の働きをコントロールできないといけないわけです。


3.すべては心次第
何の話をしているかというと、授業を楽しむか、つまらなくするかは自分の心次第だということです。どうせ受けるなら楽しんだ方がお得です。それは人生を楽しいものにするか、つまらないものにするかと同じことです。こうして授業を受けている今も、まぎれもなくあなたの人生ですから。

つまらない人生があるわけではありません。つまらないと思う心があるだけです。無駄な人生なんてありません。無駄な人生があるわけじゃなく、無駄な人生だと思う心があるだけです。人生を楽しいものにするか、つまらないものにするか、すべては心次第です。
せっかくですから今を、人生を楽しんでください。


4.感謝すること
え~っと今日の授業を受けた中で、覚えておいてほしいのは、まず無理をしないことです。覚えておいてくださいね。無理をしないこと。みなさん無理をしないように。そしてもう一つ覚えていてほしいことを最後にお話しします。それはですね、感謝するということです。

感謝をすると頭の中が静かになります。つまり、幸せを感じます。感謝っていったら、みなさんも子どものころから親や先生に、人に何かをしてもらったら「ありがとう」を言いなさい。とか言われてきたと思いますが、ヨガで感謝しましょうと言うのは、そういう礼儀ではなく、自分のためです。ヨガはあくまでも自分の幸せのためにやるものなんですね。

ありがたいことだなとか、ありがとうございすとか、お蔭だな~という言葉は、不幸を取っ払う魔法の呪文です。もしこれから先、人生がつまらないとか楽しくないと感じることがあったら、また今そう感じていたら、それは頭の働き過ぎです。それだけのことですので、ぜひ感謝をしてみてください。感謝をするほどに頭の働きが静まり、幸せをより感じれるようになります。
授業が受けれること、高校に通えること、今生きていること、目が見えること、耳が聞こえること、匂いが嗅げることなどに「ありがたいな~」と言ってみましょう。感謝するほど人生が楽しくなっていきます。

それではですね、今からどんなことに対してでもいいですので、心の中で「ありがたいことだな~」と感謝をしていきましょう。どんなことでもいいです。小さなことから大きなことまで。

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これで、講義内容の復習を終わりますが、最後に補講として”ヨガと集中力”のお話を載せておきます。



補講 ヨガと集中力

1.集中力とは?
ヨガというのは、心の働きを静めるために、集中するということは分かりましたね。ここでは、集中するためにはどうするかのコツを紹介したいと思います。集中力を身につけることは、学校での勉強や部活にも大いに役に立つことでしょう。

まず、集中力とは何でしょうか? ということですが、心をある対象に向け続ける力と言えるでしょう。そのある対象以外のことには心を向けないということでもあります。ですから他のことを考えないようにする工夫というのが、集中力を高めることにつながります。


2.集中の準備

<場の準備>
まず、他のことを考えないための工夫として、場の準備をしましょう。

場の準備とは、簡単に言うと、その空間の整理整頓をすることです。部屋が散らかっていると、どうしてか勉強に集中しづらい。これは、みなさんも経験があることと思います。
部屋に物が散らかっていると、それが目につきやすいので、そこに心が向きやすい。だから集中しづらいともいえると思います。また、物にはエネルギー(情報)がありますから、そのエネルギーが心に影響を及ぼすともいえるでしょう。

またこれは、心が整理整頓されていないから、部屋が整理整頓されていないとも言えます。逆に、部屋の整理整頓をすることが、心の整理整頓をすることにもなります。これは、やってみると分かりますよ。
要らないものは置かない、要るものは定置に戻す。ぜひ毎日の習慣にしてみましょう。

場の準備をすることは、次の次に話す心の準備になるのです。


<身体の準備>
次に、他のことを考えないための工夫として、身体の準備をしましょう。

身体が痒くなったり、臭くなったり、痛くなったり、トイレに行きたくなったり、眠たくなったり、お腹がすいたり、しないようにしておくことです。トイレに行きたいのを我慢したまま、集中するのはとても疲れます。集中しようとしても、心がトイレに行こうとするからです。心がトイレに行こうとするのを、首に輪っかを付けて引き戻そうとするようなものだからです。これはもちろん身体にもよくありません。
ですから、身体を洗って清潔にしておくこと。怪我や病気をしないようにしておくこと。トイレに行っておくこと。眠っておくこと。ご飯を食べておくこと。などをしておくことが身体の準備です。

身体の準備を怠ると、せっかく次に話す心の準備ができていても、集中できなくなる可能性があります。これはとっても当たり前のことですが、大切なことです。


<心の準備>
そして、他のことを考えないための工夫としての本分である、心の準備をしましょう。

①やりたいという気持ちを持っていること
やりたくないことに集中しようとするのはとても疲れます。集中しようとしても、心が別の場所に行こうとするからです。心がどっかに行こうとするのを、首に輪っかを付けて引き戻そうとするようなものだからです。これはもちろん身体にもよくありません。
ですから、「やりたくないことはしない」「やりたいこをする」。もしくは「やらなきゃ」という心を「やりたい」という心にしておきましょう。えっ? どうやってですか、って? さぁ、どうするんでしたでしょうかね。 

②とっても気になることを解決しておくこと
とっても気になることが心の中にあるのに集中しようとするのはとても疲れます。集中しようとしても、心がとっても気になることを解決しに行こうとするからです。心がとっても気になることを解決しに行こうとするのを、首に輪っかを付けて引き戻そうとするようなものだからです。気になることを、解決しようとするのは、心の働きとして正常です。自分の身を守ろうとするのは正常です。
ですから、そんなにも自分にとって気になる大事なことがあるのなら、まずはその大事なことから解決しておきましょう。

③小さな気になることを放っておくこと
気になることを、解決しようとするのは、心の働きとして正常です。自分の身を守ろうとするのは正常なのです。が、それでもそこまで自分に危険ではないことまでもイチイチ解決しようとしていては、集中どころか、日常生活の中で、それだけに心が使われてしまいます。それではとっても疲れる人生になります。
ですから、小さな気になることがあるのなら、「まあ、いいか」と言って(実際に言ってみる)、放っておきましょう。

④考えても仕方ないことは放っておくこと
●今現在の気になることではなく、過去の気になること「○○しなければよかった。」というのは、考えても変わりませんよね。「のどが渇いた、水筒を持ってくればよかった。」「雨が降らないのなら、傘を持ってこなければよかった。」は、いくら考えても変わりませんから、疲れますよ。
ですから、過去の気になることは放っておきましょう。

●今現在の気になることではなく、未来の気になること「○○になったらどうしよう」というのは、考えても分かりませんよね。「試験に合格したかな、不合格だったらどうしようか」「宝くじあたってるかな、はずれているかな」は、いくら考えても分かりませんから、疲れますよ。
ですから、未来の気になることは放っておきましょう。

身体の準備に比べると、心の準備はコツもいりますし、難しいですが、

①やりたいという気持ちを持っていること
②とっても気になることを解決しておくこと
③小さな気になることを放っておくこと
④考えても仕方ないことは放っておくこと   

です。ぜひ心の準備の仕方をマスターしていってみてください。集中できているときは不快に疲れることもありません。何よりそれはとても幸せなことです。
集中するための準備とは、実は、幸せに生きていくコツなんですね。実はこれが、ヨガの練習そのものとも言えるんです。準備することそのものが、ヨガの練習にもなっています。
ヨガや瞑想というのは、心の働きを止めるという目標自体は現実離れしている感がありますが、やることといえば、それはとても現実的です。それは人生を楽しむ練習といえるでしょう。

ちなみに、ヨガ(Yoga)という言葉の語源はユジュ(Yuj)という言葉です。その意味は「頸木を付ける」です。頸木とは暴れまわる牛や馬をつなぎとめておく道具です。それはつまり、首に輪っかを付けて引き戻すための道具のようなものです。


頸木


これはもちろん、すぐにどっこへ行こうとする心を牛や馬にたとえたからでしょうね。そのどっかに行こうとする心をつなぎとめておく道具(工夫)がヨガということです。


……ええっとそれから、やりたいという気持ちを持つにはどうするか、覚えていますか?
それは感謝することです。今それができることに感謝することです。「○○ができることってありがたいな~」です(実際に言ってみる)。感謝の気持ちをもてれば、どんなことにも集中して取り組むことができますよ。それはとても楽しいことだし、幸せなことです。

でも、やりたくないことを、やらないという選択肢だってあることを忘れずに……。

みなさん、せっかくの人生です。お互いに、やりたいことをやって、楽しみましょう!!


ありがとうございました。


2011.9.19 尾山広平

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